はじめに

近年、Rustは高速で安全なシステムプログラミング言語として注目を集めています。一方、AIやデータ処理の分野ではPythonが圧倒的な存在感を持ちます。 この記事では、Rustの利点や開発環境、さらにPythonと連携する方法を初心者向けに解説します。


1. Rustとは?

Rustは以下の特徴を持つ言語です:

  • 安全性

    • メモリ管理をコンパイラがチェックするため、Segmentation Faultやデータ競合を防止
  • 高速性

    • C/C++と同等の性能で、ゼロコスト抽象化を実現
    • Ruffもuvもrust製
  • 並列処理が得意

    • 安全な並列処理を簡単に書ける
  • バイナリ単体で配布可能

    • Pythonのように仮想環境や依存関係を気にせず配布できる
    • 簡単なアプリを作成して配布する場合は有用

Rustはシステム開発だけでなく、CLIツールやWebバックエンド、さらにはAI推論の高速化にも向いています。


2. Rustの開発環境

2.1 WSL / Docker の選択

  • WSL

    • Windows環境でRustをネイティブに動かす
    • VSCodeと相性が良く、開発効率が高い

多くのケースでは WSL 上で Rust 開発 → リリース時にバイナリ化 という流れが最も現実的

2.2 VSCodeとの統合

  • 拡張機能

    • Rust (rust-analyzer)
    • CodeLLDB(デバッグ用)
  • 自動フォーマット / lint

    • 保存時に rustfmt で整形
    • clippy で警告・改善点を表示

3. Pythonとの連携の必要性

Rustは高速で安全ですが、AIやデータ処理のライブラリはPythonの方が豊富です。

  • AIモデルの推論や学習 → PyTorch / TensorFlow / HuggingFace
  • データ処理・解析 → pandas / numpy / scikit-learn

Rustで処理できる部分はRust、AI部分だけPythonを呼び出す設計が現実的です。


4. RustとPythonを連携する方法

  1. Python側でAPIを用意

    • FastAPIやFlaskなどでREST APIを作成
  2. RustからHTTPリクエストで呼び出す

    • reqwestureq などのHTTPクライアントを使用
  3. JSONで入出力を統一

    • RustとPythonの間でデータ形式を固定することで互換性を維持

Rust単体でもAPIで動く構造にしておくと、将来的にある処理でAIを使おうと思ったときにPythonを入れることが可能です。

Rust単体でも推論ならOnnx runtime等でAIの活用が可能

例:Rust側

use reqwest::blocking::Client;
use serde::{Deserialize, Serialize};

#[derive(Serialize)]
struct RequestData {
    input: String,
}

#[derive(Deserialize)]
struct ResponseData {
    result: String,
}

fn call_python_api() -> Result<(), Box<dyn std::error::Error>> {
    let client = Client::new();
    let req = RequestData { input: "Hello".into() };
    let resp: ResponseData = client.post("http://127.0.0.1:8000/run")
        .json(&req)
        .send()?
        .json()?;
    println!("Pythonからの結果: {}", resp.result);
    Ok(())
}

5. Rustを主体にする設計の利点

  • 高速で安全な処理を担保
  • UIや設定処理をRustで統一
  • PythonはAI部分だけ
  • 将来的にPythonをRustに置き換えやすい
  • 設定ファイルはYAMLで、APIはJSONで統一すると互換性を維持しやすい

6. まとめ

  • Rustは高速・安全・配布が容易な言語
  • PythonはAI・データ処理に強いエコシステムを持つ
  • RustとPythonを連携することで、両言語の強みを最大限活かせる
  • API形式で連携する設計を取ると、互換性と将来性を確保できる